制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。
今回の「おつD」は、デジタルの世界で「色」を表現する仕組みに迫ります!
コンピューターやゲームなど、デジタルの世界ではあらゆる物事をプログラム…もとい「数値」で表します。ですがそれも元を辿れば、現実世界で色が見える仕組みがあってこそ。
そのあたりのお話も含めて、色の世界を少しだけ深掘りしてみましょう!
ちなみに、色彩についてちょっとだけ触れてる過去記事もあります。よければ前知識としてどうぞ。
もくじ
【肉眼で「色」が見える仕組みを知ろう!】
【光と色料、2つの「三原色」】
【モニターにはRGB、印刷物にはCMYK!】
【余談:色は嘘つき!? 錯視の世界】
【まとめ】
【肉眼で「色」が見える仕組みを知ろう!】
本題の前にまず、肉眼で色をとらえる仕組みについて簡単に。
例えば目を開いていても、光のない暗闇の中では色がわかりませんよね。人間は目が知覚する「光(電磁波)」を「色」としてとらえます。物体が反射した光(が、どの波長なのか)によって「これは何色だ」と判断することができるのです。
もう少しだけ、詳しく説明してみましょう。
目の網膜には錐体と呼ばれる視細胞(光受容体)があります。この錐体が判別できる「光の波長(赤外線〜紫外線の間)」を、赤や青・黄色や緑といった「色」として認識している、というわけですね。人間や霊長類には通常、3種類の錐体がありますので、通称「三色型色覚」と呼ばれています。
※参考サイト:色の識別、人間は何色までできる?人が見分けられる色の種類|All About
【光と色料、2つの「三原色」】
お待たせしました! それではいよいよ、ここからが本題。
皆さんは「三原色」って聞いたことあるでしょうか? 実は世の中に見える全ての色は、3つの原色(混ぜ合わせても絶対に作ることができない色。一次色とも)の組み合わせで表現することができるのです! 三原色には、「光」と「色料(色)」の2種類があります。順に見ていきましょう。
「色料(色)の三原色」は、シアン(明るい青)・マゼンダ(明るい赤紫)・イエロー(黄)の3色の色料(例えば絵の具やインクなど)のこと。
混ぜれば混ぜるほど黒に近づきます。
このように、色料を混ぜて色をつくることを「減法混色」と呼びます。
【モニターにはRGB、印刷物にはCMYK!】
コンピュータやスマホ(モニター)上で表現される色は、モニターから放たれる光によって表現されます。そのため厳密に言うと、自然界の色をその通りに再現できるわけではありません。
ソフト・ハード両方の癖や見る人の置かれた環境・また心理状態などによっても、感じる色には微妙な差異が生まれます。また、錐体などに何らかの障害を持っているために、特定の(または全ての)波長の色が認識できず、健常者と全く異なる色が見える人もいます(色盲・色弱)。
デジタルの世界では、色にかかわる情報は「カラーモード」というものを使って表現(記録)します。例えば「赤と青の絵の具を混ぜて紫色を作って」という指示を人間は自然と理解できますが、一方コンピューター(機械)は「カラーモードでいうどの種類・数値なのか?」「何を何%を混ぜればいいのか?」といった、とても具体的な情報がないと動けません。
カラーモードはコンピューターにとって、いわば「仕様書のテンプレート」のようなもので、これを使ってどんな色にしたいか明確に伝えるわけです。
カラーモードには、様々な種類があります。簡単にまとめるとこんな感じ。
RGBモードのカラーパネル(Illustrator)
デジタル写真やWebバナーなどの画像には、光の三原色を元にした「RGBカラー」を用いるのが普通です。
モノクロ画像の場合は「グレースケール」という選択肢もありますが、個人的には必要な場合を除き、モノクロ画像でも「RGBカラー」を選んでおくのが無難かと思います。
ちなみに印刷物(CMYK)のデータを作っているとき、私たちが肉眼で見ているのも実はRGB。モニターの光を介しているのだから当然ですね。そのためデータと実際の印刷では、どうしても微妙な色の差が出るのが困りものだったり。
CMYKモードのカラーパネル(Illustrator)
コンピュータ上でつくる印刷物(DTP)では、色料の三原色を元にした「CMYKカラー(プロセスカラー)」で刷る色を指定します。
三原色を混ぜれば黒ができるのは前述の通りですが、単純に3色を混ぜただけでは綺麗な黒を表現できません。また、結果的にインキ量が多くなってインキが紙に滲む・なかなか乾かない等の物理的な問題も起きます。そのため、3色(CMY)に黒(K)のインキを加えた4色を使う、という印刷方法がポピュラーになっています。
【余談:色は嘘つき!? 錯視の世界】
最後にちょっとしたおまけとして、「錯視」についてのお話を。
「心理状態によって見える色が変わる絵」とか「疲れていると動いて見える絵」とか、そういった画像を見かけたことはありませんか? あれも錯視の一種と言えます。人間の目(視覚)というのは結構いい加減なところもあって、色や形の認識を利用した単純な仕掛けに、コロッと騙されちゃうのです。
一般にそういった現象を錯視と呼んでいるわけですが、今回はそんな錯視の例をいくつかご紹介。自分にはどう見えたか、他の人と話し合ってみると面白いかも?
※クリック・タップで拡大されます
※健常者の色覚であることを前提とした図です。
※分かりにくい場合は、画面から少し離れてみてね!
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。例の如く、今回もかなり突っ込んだ話題を扱っているので、理解できなくても全然大丈夫です。繰り返しになるかもですが、こういった基礎知識はやってれば自然と覚えていくものですからね。
カラーモードについては、基本的にRGBとCMYKの使い分けだけ知っていれば基本的な仕事はこなせるかな、と思います。デザイナーやイラストレーター・写真家・マンガ家といった仕事をやってみたいなぁ、という方は、ひとまずここだけは押さえておきましょう。
他の知識はクオリティアップとか、できることの幅を広げるために知っておくといい上級者向けの知識なので(自分もLabカラーとかほぼ使わないド素人ですスミマセン)たぶん問題ないですはい。
さてと、次回の話題はー……、いつも通りなんも考えてないです(笑)。ただ「今年からは少し専門性のある話題にも触れていく」とは決めているので、また少し実務に関わるような話を出すかもしれません。長くても難しくても読者が眠くならないよう、文章力を鍛えないとですね…。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!
参考文献
色の大事典 基礎知識と配色・カラーチャート・伝統色・慣用色名 DIGITAL COLORS for DESIGN|井上 のきあ(著)
※画像お借りしました:いらすとや様
2024.5.31
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