印刷DIYのおつまみ。〜コンビニコピー機&100均アイテムでもできる豆色紙印刷!〜

おつまみでざいん。

制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。

今回の「おつD」はまたまた番外編パート、お手軽本格セルフ印刷のお時間です!

使うものは豆色紙の他、100均でも手に入るような身近なアイテム、そしてコンビニコピー機だけ。コツさえ掴めば簡単にできちゃうのに、まるで印刷機で刷ったかのような仕上がり。しかも! 今回は動画による実演付きでご紹介しちゃいます!

ちなみにこの方法、色紙以外にも紙製のコースター・厚紙・木材などなど大抵の平滑な素材に印刷できます。ちょっと難易度高いですが、やろうと思えば緩やかな曲面にも! ただ、今回はサイズが手頃で扱いやすい豆色紙でやっていきますね。


もくじ

【①用意するもの・あるといいもの】
【②準備とコピー機印刷のコツ】
【③図柄を転写しよう!〜解説動画〜】
【④タネ明かし:トナー転写の仕組み】
【まとめ】


【①用意するもの・あるといいもの】

早速やっていきましょう!

まずは以下のものを用意してください。

<豆色紙>

豆色紙(姫色紙)
豆色紙(コミックケント)

小さめの色紙(寸松庵、136×121mm)なら多くの100均で入手できますが、手のひらサイズの豆色紙(76×76mm)はあまり見かけないかもしれません。これだけは仕上がり的な理由からも、文具屋さん・画材屋さんなどで購入されるのがオススメです。「コミックケント紙」「アルコールマーカー用」「マーカーペン用」などと書かれている物が適しているでしょう。

一般的な色紙には書道用の、表面が少しザラっとしているもの(画仙紙など)もありますが、そちらだと色が滲んでしまうかもしれません。今回は作業工程や素材の相性的にも、なるべく表面が滑らかな素材が良いかなと思います。

<クリアファイル>

柄などの付いていない、一般的な透明タイプが見やすくていいです。サイズはA4で十分。コピーした図柄を色紙へ転写する際、紙がズレないようにするために使います。またクリアファイルの上から擦ることで、色紙自体が傷つくのを防ぐこともできます。

<マスキングテープ>

マスキングテープ
マスキングテープ

クリアファイルと同じく紙がズレないようにする「固定用」と、工程上どうしても色紙の金縁が剥がれてしまいがちなので、その上から巻きつけて額縁のように飾りつける「装飾用」の2種類用意します。

固定用のものは無地でなるべく色がついていないものの方が適しています。製図用のドラフティングテープでも可。

装飾用は、転写する図柄に似合うものをお好みで選びましょう。昨今は100均にも、バラエティ豊かなマスキングテープが置いてあります。ただし箔加工(金箔や銀箔など)が使われたマスキングテープの場合、色紙の縁と同じように色が禿げてしまう場合があります。どうしても使いたい場合は、しっかり色紙自体を乾かしてから貼るようにしましょう。

<除光液(ネイルリムーバー)>

この印刷の鍵となるアイテム。必ず「アセトン」という成分が含まれているものを選んでください。このアセトンの濃度が高い方がしっかり印刷できるので、ドラッグストアなどで「強力タイプ」などと書かれているものを選ぶとやりやすいかもしれません。

このアセトンの持つ「ある性質」を活かして、コピー紙に印刷された図柄を転写します。詳しくは後程。

<転写したい図柄を印刷したコピー用紙>

今回使用する図柄(反転する前)
今回使用する図柄(反転する前)

印刷したい図柄(イラストや写真など)をコンビニコピー機(レーザープリンター)で印刷したもの。カラー・白黒印刷のどちらでもできますが、インクジェット方式で印刷したものは使えません。今回は以下の回にて描き起こした、新アイキャッチのイラストを使ってみます。

注意点としては、対象に転写する形で印刷するので、図柄は必ず左右を反転させてから印刷しましょう。

どこでコピーするかですが、参考までに自分はコンビニコピーは大体、某7と11がつくところでやってます。他所よりくっきりと、色鮮やかに印刷できる気がするので……。とにかく、一般的なレーザープリントコピー機なら、どこのコピー機でも(コンビニに置いてある物でなくても)大丈夫です。

<色紙表面を擦るもの>

ペンのキャップやコミックトーン用のヘラなど、クリアファイルに挟んだ色紙を擦ることができるならなんでもOK。角が丸く滑らかであり、グッと力を入れても色紙の表面を引っ掻かないような形状・素材だと望ましいです。案外、力を入れますので…。

<その他必要なもの・あるといいもの>

ティッシュなど:除光液を紙に浸し、染み込ませるのに使います。

ペーパーウェイト:クリアファイルの上部に置くと、図柄を擦る際に安定感が増します。

OPP袋やスリーブ:100均にはホログラムやオーロラ加工の袋など色々あります。
         これに出来上がった豆色紙を入れると一段とオシャレに!
         台紙を貼ったり、小さな額縁で飾るのもまたよし。

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【②コピー機印刷のコツ】

繰り返しになりますが、コンビニコピーの際は図柄を左右反転させておくことをお忘れなく。そのままだと色紙に転写した際、仕上がりのほうが左右反転してしまいます。コピー機の機能でも左右反転させて印刷できると思いますので、お試し下さい。

反転させた転写用図柄(見本)。色調整して濃度を3段階用意してみました。グレーのラインは、見当合わせのための補助線。
反転させた転写用図柄(見本)。色調整して濃度を3段階用意してみました。グレーのラインは、見当合わせのための補助線。

そしてここからが超重要ポイントなのですが、コピーする図柄は想定する色の倍くらい(か、それ以上)に濃度を上げておくと、多分いい感じの色味になります。なのでコピー機で印刷濃度の設定を濃くするか、あらかじめ色を濃くしておいたものを印刷してください。後者の方が印刷が荒れないのでおすすめ。このひと手間が仕上がりに直結してきます。

この方法では紙に印刷したものを転写する訳ですが、元のコピー紙には少なからずインクが染み込んでいます。コピー紙に印刷された全てのインクを、そっくりそのまま色紙に転写できるわけではないのです。そのため転写したインクの色は、どうしても元のコピー紙より薄くなります。どれくらい薄くなるか・濃く印刷しておけばいいのか……こればっかりはトライアンドエラーで匙加減を覚えるしかないのが、今回随一の難しいところかも。

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【③図柄を転写しよう!〜解説動画〜】

それでは準備ができたので、いよいよ印刷作業(転写)に移りましょう!

今回使用する道具はこちら。

なお説明が後出しになりましたが、これから行うのは「トナー転写」という簡易的な印刷手法です。詳しい仕組みについては最後にお話しするとして、具体的な手順を以下に示しますね。

1.コピー紙を転写する範囲(今回は豆色紙全体)にあわせて切る。一回り大きめに切っておくと安心。
2.クリアファイルを開き、中央あたりに色紙を表向きに置く。
3.転写する図柄に影響しない位置を2〜3箇所マスキングテープ(固定用)で留め、クリアファイルの間に色紙を固定する。裏面に巻いたテープを貼って固定してもいい。
コピー紙の印刷面が色紙表面に当たるよう裏返し、位置合わせをしながら色紙の上に重ねる。
4.3.と同じように、マスキングテープ(固定用)でコピー紙を2〜3箇所留める。この時、色紙の周囲を全部留めないこと。
※用意している場合は、クリアファイルの上部を文鎮で押さえておく。
5.ティッシュペーパーに除光液を浸し、コピー紙の上からトントンと叩くようにして紙(図柄)全体に染み込ませる。もしくは上から直接除光液をたらし、ティッシュペーパーで叩くようにして広げる(たらしすぎ注意)。
6.コピー紙の図柄全体が透けて見え、満遍なく除光液が染み込んだら準備OK。
7.速やかにクリアファイルを被せて挟み、片手でしっかり押さえる。クリアファイルの上から、図柄全体を強めに擦って転写していく。
もし除光液が乾いてきたら都度足して、繰り返し擦る。焦らず全体を満遍なく擦るのがコツ。
8.端を少し剥がしてみて、転写が上手くいっていればOK。まだ転写できていない部分があれば7.に戻り、同じ作業を繰り返す。
9.除光液が乾いたら、コピー紙を色紙からゆっくり剥がす。
10.溶け出た金縁の色で図柄を汚さないよう注意しながら、四辺を上から巻くようにマスキングテープ(装飾用)を貼る。

……と、まあ文章に起こしたところで非常に分かりづらいなぁと思いましたので、今回は特別に!!

実際に図柄を転写していく様子を撮影してまいりました! ので、その一部始終を(手抜き編集で)どうぞ。

動画引用元: 【メイキング】「おつまみでざいん。」2024/09回 トナー転写で豆色紙印刷メイキング・解説動画【ブログ掲載用】|wachico.BLOG

ナレーション: COEIROINK  松嘩りすく(MYCOEIROINK)

フリーBGM: DOVA-SYNDROME

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【④タネ明かし:トナー転写の仕組み】

さて、①で申し上げましたが、このトナー転写の鍵となるのが「アセトン」という成分。アセトンとは有機溶媒として広く用いられる、有機化合物のことです。水をはじめ色々なものによく溶け、あらゆる油脂も溶かす性質があることから、本来混ざり合わないものを混ぜ合わせるカップリング剤として使われたり、除光液・スプレーペイント・染み抜きなど一般に幅広く用いられています。

勿論レーザープリンターでも「トナー」…つまり「油」の入ったインクを使っています。油を溶かす、というアセトンの性質が、この「トナー転写」という印刷技法を実現しています。

アセトン
アセトン

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ただし、アセトンはアルコール(エタノール)と同じく揮発性もとても高いので、単体ではすぐに乾いてしまい扱いづらい、という短所もあります。そこで、前述の「水に溶けやすい」という性質が活きてきます。あらかじめ水に混ぜておけば、アセトン本来の揮発性をかなり抑えることができ、扱いやすくなるのです。この「水にアセトンを混ぜたもの」……どこかで見た覚えがありませんか? そうです。これ、今回使用した除光液の成分とほぼ同じです。
※アセトンの入っていないタイプの除光液もあります。

「アセトンが重要なら、最初からアセトンそのものを使えばいいんじゃないの?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。ですがアセトン単体では、先ほど言ったように揮発性が高すぎて転写する間もなく乾いてしまいます。それだけではなく引火性も高いですし、毒性もあります。ヒトが直接吸い込むと頭痛・気管支炎などを引き起こし、大量に吸うと意識を失う場合もあるという、危険な物質でもあるのです。

だからこそ、アセトンの危険性を抑えて良い性質を活かした除光液のほうが、トナー転写にピッタリ……というのが、除光液を使う理由だったんですね。除光液ならドラッグストアやコンビニ・そして100均で買えちゃうお手軽さ・コスパの良さが素晴らしい。このやり方思いついた人、本当に天才だなと思います。

※参考サイト: アセトン|Wikipedia

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【まとめ】
トナー転写豆色紙 完成図
トナー転写豆色紙 完成図

そんなわけで突然の印刷DIY講座・トナー転写のお話でした。

以前とある縁で知り合った方々に、このトナー転写で作ったキャラクターの豆色紙をプレゼントしたところ、とても喜ばれたのがこの記事を書くに至ったきっかけだったり。「まるで印刷所に頼んだみたい!」と驚かれること間違いなしです。

他の方法としては、透明なものだと透けるので、プラ板に転写したらアクリルチャーム風にできるかも……? あ、どうしよう言ったら試してみたくなってきちゃった(笑)。

まだまだ残暑厳しいですが、季節は芸術の秋。皆さんもお気に入りのイラストや写真を、トナー転写で世界にひとつのオリジナルグッズにしてみては?

ここまでお読み頂きありがとうございました。

それでは、次回をお楽しみに!

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2024.9.30


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