制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。
今回の「おつD」、テーマはずばり「文字組み」についてです!
グラフィック(DTP)デザイナーの必修科目と言っても過言ではない知識ですが、きちんと学ぼうとすると難しく感じてしまうもの。実際私も学生時代、慣れるのにすごぉぉぉぉぉぉく苦労しました。その分「文字組み」の大切さがいかばかりか身に染みたのですけれど。
という小難しい話をしてもつまらないですし私が説明しきれな…ゲフンゲフン。ので! 「文字組み(+文字やフォント)」にまつわる、知っているとちょっとだけお得かもしれない小ネタを集めてみました。これを読めば明日誰かに自慢できちゃうかも?(多分ないです)
もくじ
【そもそも「文字組み」とは?】
【小ネタその1:印刷業界御用達、「級」と「歯」が便利すぎ!】
【小ネタその2:フォント界の2大巨塔!「明朝体」と「ゴシック体」】
【小ネタその3:フォントだけで絵は描けるのか?】
【まとめ】
【そもそも「文字組み」とは?】
※参考サイト:コムデザ|東洋美術印刷株式会社
「文字組み」とは、ものすごくざっくり言うと「文章が読みやすくなるように工夫する」ことを言います。例えば文字の大きさや太さ細さ。例えばフォントの種類。例えば行間(行と行の隙間)や字間(文字と文字の隙間)……といった要素を検討し、デザインして整えることですね。
上の画像を見れば一目瞭然ですが、文字組みに気を使っているものとそうでないものだと、かなり読みやすさに差があります。長い文章でもすらすら読めちゃうのは、デザイナーがきちんと「文字組み」のことを考えているからこそなんですね!
ちなみに「組む」という表現は、(技術自体は現存していますが)「活版印刷」という昔ながらの印刷技法に由来している説があります。活版印刷機で文字を印刷する際は「活字」という金属の印鑑のようなものを手で「拾う」作業をし、それを枠の中に「組む」のです。かつて大震災などの災害で活字を紛失し、廃業してしまった印刷業者も少なくなかったとか……なんてもったいない…。
【小ネタその1:印刷業界御用達、「級」と「歯」が便利すぎ!】
「級」「歯」は、文字(フォント)の単位のこと。「級」は文字の大きさ、「歯」は文字や行の間隔を指し、日本の印刷業界ではポピュラーな単位なのです。
皆様におかれましては「級」はともかく「歯」って何やねん! …と、大学入学当時の私と同じ反応をされたことかと思います。ですがコレ、使い始めると「もうptには戻れない!」って思ってしまうくらい扱いやすい単位なのです!
では唐突にここで問題。「12pt」の文字を紙に印刷したとします。さて、1文字は何mm四方でしょうか?
答えは「4.2168mm」。これを「級」にすると「16.8672Q」と表せます。即答できた方は恐らく印刷業界のプロフェッショナルですね。私じゃ資料とか変換ツールとかがないとさっぱりです。
※参考サイト:級数とポイント換算表 – 四畳半の住人
何でこんな中途半端な数字になるかと言うと、「pt」という単位は元々「欧文組版(英数字の文字組み)」に基づいて作られているからです。海外には「ヤード・ポンド法」を一般的に用いる国が沢山あります。「pt」はこれに沿って定められた単位のため、普段「メートル法」を用いる日本人には分かりにくくて当然な訳です。
…ここまで話せばもうお分かりでしょう。そう、日本の文字組み「和文組版」で用いる「級(Q)」「歯(H)」は、「メートル法」に基づいて作られたのです。
1Q(H)は「0.25mm」。例えば4Qの文字なら1mm四方…と、このように計算しやすいのが何よりの強みですね。
とは言ったものの、実際にこういう特殊な単位が設定できるのは、現状Illustratorなどの専門ソフトくらいではないかと思います。う〜ん、残念。
【小ネタその2:フォント界の2大巨塔!「明朝体」と「ゴシック体」】
ワープロソフトなどで文字を打つ際、「〇〇明朝」や「〇〇ゴシック」というフォントの名前をよく見かけると思います。これはフォントの種類を判別するのに役立ちます。
多くの和文フォント(日本語のフォント)は「明朝体」と「ゴシック体」、この2種類に分けることができます。どんな風に使い分けるといいのか、それぞれの特徴を見てみましょう。
いかがでしょう。実際に身の周りの書類やチラシを確認してみると分かりやすいかもですね。
勿論、この枠に収まらない種類のフォントも山ほどあります。全体的に個性的で、タイトルや見出しだけに絞って使うことが多い「ポップ体」や、マンガのセリフとしてよく使われる「ひらがな・カタカナは明朝体、漢字・英数字はゴシック体」という混ぜこぜフォント「アンチック体」などなど。
有志の方がゲーム内の独自言語を解読してフォント化した…なんていう変わり種もありますね。本当、そういうのも含めたらキリがありません!
この機会に、PCの中からお気に入りのフォントを探してみてはどうでしょう?
【小ネタその3:フォントだけで絵は描けるのか?】
最後はおまけ的な小ネタで締めましょう。
その2で申し上げたように、この世の中には有償無償問わず果てしない数のフォントが存在します。フリーフォントでなくとも、本当に個性を爆発させたようなフォント達があったりします。
では、そんなフォントを使って…いや、フォント「だけ」を使って絵は描けるのか? できます(即答)!
実際にやってみた作例がこちらです。フォント名も添えますね。
どうでしょう。3枚目は思い切って白黒にしてみましたが、勿論これも1文字1文字がフォントとして用意してあります。好きな役作り放題です。
フォントだけでこんなに色々できちゃうなんて面白いですよね。というか「こんな物までフォントにしてどうするんだ!?」なんて正直思っちゃいますよね。実際、あるからには使うところでは使うのでしょう。たぶん。
【まとめ】
以上、文字に関する小ネタでした。
今回は箸休め回として書き始めたんですが、結構いろいろ調べる事があって結局箸休めできなかったですね。私は。…まあいいでしょう、次回に期待です(何を?)。
それにしても、気付けばクロノスに来てから丸1年が経とうとしています。年を取るたびに1年が早く過ぎていく気がしますね。かなしみ。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!
2023.3.24
コメント