制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。
今回の「おつD」は久しぶり? の制作裏話(そもそもこういうのが本編です)。「クロノスニュースレター」創刊に寄せて、その顛末をお届けします。
現在、創刊号を近隣の事業所や作業所・支援施設等に順次送付させて頂いております。お手に取れない方は是非以下のWeb公開版からPDFでご覧下さい。創刊号以降のニュースレターについても、こちらに随時更新し閲覧できるようにしていきますのでご安心ください!
もくじ
【事業所・作業所のニュースレターって?】
【今だから話せる小ネタ集】
【DTPデザインのお作法 〜初歩編〜】
【まとめ】
【事業所・作業所のニュースレターって?】
まず、今回ここでお話していく「ニュースレター」は、福祉作業所や事業所が発行する、関係各所へ向けた刊行物のことだとします。(〇〇〇だより・〇〇〇通信、とか学校にもありましたけど、今はどうなんでしょうね?)
その目的は言わずもがな、その組織の「過去の活動報告」や「今後の活動プログラム」を周知したり、「参加型イベントの告知」を行うこと。ネットのようにある程度無作為で広域に…というよりも、地域に向けたピンポイントな情報発信ツール、という立ち位置でしょうか。
弊所の創刊号を確認して頂くと、事業所として参加したイベントの情報や、卒業していった先輩方が大まかにどのような業種に進んだか、などが書かれていますね。
内側の見開きページには、現在所属している利用者について、具体的に知ることができる情報をまとめています。
部門紹介コーナー第1回では、僭越ながら私から制作部門(デザイン部門)のご紹介をお送りしております! 実はこれ、提出した原文から結構な加筆修正を頂いています。お陰で私が喋ってる内容じゃねえよ感は出ましたが(笑)、事業所として伝えるべき情報の質と量が増したのは確かですね……だってご覧の通り文字下手なんですよ、ねぇ、うん…。今後とも修行しますはい。
そして大ボリュームの利用者インタビューコーナーは、まず録音した音声から文字起こし(これも別の利用者の方にお願いしています)する所から始めました。しかしそのままだと読み手に話し手の意図が伝わりにくいと感じたので、ニュースレターにはこちらで清書したものを載せてみました。ちなみに実際のインタビュー音声なんですが、以下のページから聞いていただけます!
クロノス・インタビュー – 利用者Lさん編 –
※このページに掲載したインタビュー内容は、ほぼ書き起こし原文ママになっています。
こういった情報があると、入所を検討されている方の貴重な判断材料になりますね。
今後どのようなスパンで出していけるかわかりませんが、今後の展開に乞うご期待…!?
【今だから話せる小ネタ集】
ここからは「今だから明かせる」製作裏話…というか、ただの小ネタをご紹介。
(1) 当初、担当デザイナーは複数体制だった
実はこの企画が持ち上がった時、私wachico.はデザイン面でのディレクター的な立ち位置を任されていました。つまり実際にデザインを担当し、印刷所で印刷できるデータ(入稿データ)を仕上げるデザイナーが別にいた、ということ。
ところが、そのデザイナーさんは諸事情で担当を抜けざるを得なくなってしまい、満足に引き継ぎもできないまま、スライド式に改めて自分がデザイン全般を任されることになったのです。この影響で作りかけのデータは無かったことになり、ほぼ0からデザインをやり直すこととなりました。かなしい…。
紙面構成のベースやヘッダー部のデザイン案には、前任者の意図をなるべく自分なりに拾い上げ、組み込んでいくようにしていました。これはその方へのリスペクトはもちろん、ひとりのディレクターとして上手く立ち回れなかった反省と後悔の念、そういう自分自身への戒めが強かったです…。
(2) 脅威の製作期間○ヶ月!?
前述通り、途中で作業体制を変えつつ進めていった、ニュースレター創刊号。ではその企画が立ち上がったのはいつ頃なのかというと、記録してある限り今年初めごろにまで遡ります。
実際に制作に取り掛かったのは2月頃で、体制変更による中断を挟んで、再始動は4月頃。企画当初はこの頃(つまり春号)の発行を目指していたように私は記憶しています…しかしながら前述の通り、制作は一旦リセットされ……。
そのため心理的な焦りも目立ち凡ミスが増えたり、様々な部署や人と掲載内容の正誤や承諾などの確認事項が多かったりも大変だったところです。その後も何度となく校正を繰り返し、ギリギリまでデータをいじり続けていたのをよく覚えています。ロゴや名刺なんかとは情報量が桁違いですからね…。
無事に脱稿(ここでは印刷所に入稿データを送ること、と思ってください)した時はひたすら「あああおわたああ疲れた…」って精魂尽き果ててましたね。いや脱稿時は大体そうなるんですけども。
と、いうことで。たった4ページの1枚ものではありますが、実は企画から発行までおよそ半年もかかった大作なので。どうか読んでやってください皆で頑張ったんでどうか…!!
【DTPデザインのお作法 〜初歩編〜】
以前、「デザイナー」のおつまみ。 – 後編 –・文字組みのおつまみ。などで触れた「DTPデザイン」ですが、こういったニュースレターを作るのもDTPの領域に含まれます。ということでこの機会に、DTPデザインの(個人的に)初歩的なポイントをいくつか挙げて、今回はお話を終わろうと思います。
1)決めた「仕様」は途中で変えない!
ここで言う「仕様」というのは、判型(紙のサイズ。A4・B5・文庫・新書など)や縦横方向・折り方や綴じ方・色数(フルカラー・単色・多色など)・部数(作る数)…といった、作りたい物に関する諸々を指します。
これを後から「やっぱりA4じゃなくてB52つ折りで…」とか言われたとします。控えめに言ってデザイナーは阿鼻叫喚します。いや控えめじゃないですガチトーンで叫びます。
DTPの場合、紙のサイズや寸法(縦横比)が変わるので、それまで組んでいたテキストや図版(写真やイラスト)を組み立て直さないといけなくなります。単純に拡大縮小で済むならこんなことは言わないんですが、そう簡単にはいかないのがこの世界。難しい話になるので具体的な話は省きますが…。
恐らくベテランデザイナーであればあるほど、この「仕様」については気を使っているのではないかと思います。初めにクライアントと認識の相違がないよう何度も確認し、それでもなお仕様変更など出ようものならその相手とは金輪際取引きしないことまで想像がつきます。DTPに限らず、全てのデザイナーにとって「仕様変更」は地雷ワードなのです。
ちなみに、趣味で何か作ってる時「やっぱりこういう仕様にした方がいいな…」ってなった時も脳内で阿鼻叫喚しますからね。だいたい同じ感じで。…この説明私にしかわからんやん(笑)。
2)最優先せよ「可読性」!
DTPデザイナーは「読み物」をデザインするのがお仕事です。すなわち、「読みやすさ(=可読性)」を考えたデザインが大前提。例えば図録を作るなら、図録らしく展示品の写真をよく見せるレイアウトなんかも必要ですし…一概に可読性だけあればいい、とは言い切れない世界ですが、ともあれDTPである以上、可読性を意識するのは「基本中の基本」ということです。
同じものでも、受け手の年齢や特性、病気や障がいの影響などで、読みやすさに差が出てきます。対象とする読み手(ターゲット)を明確にして、そこにフォーカスした仕様を作るのが得策でしょう。
3)迷ったら「定番フォント」で検索!
今の世の中は数えきれないほど多くの「フォント」で溢れています。数万円もする業界御用達のものから、パソコンに元からインストールされているもの。最近では「商用利用可能なフリーフォント」も多くあります。
だからこそ生まれるのが「似たようなフォントありすぎてどれ使えばいいの」問題。これはWebデザイン業界などでも同じことが言えますが、とにかく昔よりべらぼうに選択肢が増えた。これが有り難くもあり、悩みどころでもあるわけです…。
選択肢を絞り込む手はいくつかありますが、そんな時は手っ取り早く、ネット上で「定番フォント」や「おすすめフォント」などのワードを調べてみましょう。色々な見解があるので最初は混乱するかもしれませんが、他人の意見に目を通していけば、必ずセンスが鍛えられてきます。そうすれば「この雰囲気ならまずこのフォントを試そう!」という感じで、自然と「自分の定番フォント」が固まってくるかと思います。
ご参考までに、私の選ぶシチュエーション別「定番フォント」をご紹介。すべてがフリーフォントというわけではないですが、似たようなフォントは割と見つかるので探してみるのもいいかも?
■紹介フリーフォントDLはこちら
【まとめ】
ということでして、少しだけでしたがニュースレターのお話でした。
ニュースレターについてはなんというか…こう、気持ち的に「私が作った!」というより「みんなが作った!」という方に比重が傾きすぎているんですよね、自分の中で。必然的にあっさり味になって、掘り下げた話がしにくかった印象ですね…。申し訳ない。
さて次回のネタなんですが……なんですが…ちょっと…………、もしかしたら連載初のお休みを頂くかもしれません。抱えてるタスクが若干笑えない感じに増えてきたので正直個人ブログにさえ書きたいネタを書く暇が無くなってきてます。ので、一応ここで「お休みするかも」と予防線を貼っておきます。
よっぽどのことがない限り短くても何かしら1ネタ書くつもりですが、来月休載だったときはその……「よっぽど」なんだなぁ〜…、とお察し頂ければと存じます。最近至らないことばかりだ…だって毎日暑いんだもん……。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!
2023.7.28
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