制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。
今回の「おつD」は前回に引き続き、画像形式のお話です。前回はこちらから。
この「ビットマップ形式」と対置されるのが、今回のテーマである「ベクター(ベクトル)形式」です。まずはWikipediaの該当記事本文から、その冒頭(概要)部分を引用してみましょう。
ベクター画像(ベクターがぞう、英: vector graphics)は、コンピュータグラフィックスなどにおいて、画像を円や直線などのような解析幾何学的な「図形」の集まりとして表現する表現形式である。平面をスキャンし、その各点の濃淡の集まりによって画像を表現する「ビットマップ画像」(ラスター形式)と対置される。それを描画する操作として(仮想の)絵筆を動かすようなスタイルになることから、ドロー形式、ドローグラフィックなどとも呼ばれる。
ベクター画像|Wikipedia
※引用元:ベクター画像|Wikipedia (外部リンク)
…………え、何語?(あんたが言うな)
とまあ、ちゃんと説明しようとすると自分もわけがわからなくなる程度には専門的なので…、ここでは「Illustrator上で描くベクター画像」関連に絞って書いていこうかと思います。予告通り「おつD」史上最高難易度の回になりそうですが、良ければ少々お付き合い下さい。
もくじ
【ビットマップ形式とベクター形式】
【入門編:とりあえずベクター画像を描いてみる】
【基本編:ペンツールを使いこなすコツ】
【応用編:ライブトレース機能にチャレンジ!】
【まとめ】
【ビットマップ形式とベクター形式】
本題に入る前に、前回お話ししたビットマップ形式と何がどう違うのか、それぞれの特徴を比べてみましょう。

あくまで私見ですが、ざっくり比較するとこんな感じ。取りたい手段や目的・あとは単純に好みによって使い分けていくといいでしょう。
※参考サイト:画像オブジェクトの「ラスタ形式」と「ベクタ形式」 違いと使い分けについて|株式会社アーティス (外部リンク)
【入門編:とりあえずベクター画像を描いてみる】

ここからは、実際にIllustratorの画面を交えながら説明しましょう。
Illustrator上において「ベクター画像を描く」だけなら、やり方はとても簡単です。「長方形ツール」「楕円形ツール」などで描いたオブジェクト(描いたものや打ち込んだテキスト、配置した画像などを指す)が、まさにベクター形式です。これらのオブジェクトは「塗り」と「線」の2つの要素で成り立っていて、それぞれ個別に色や透明度(アルファ値)・グラデーション等を設定できます。また、線には線幅や角の処理・破線やブラシ等の装飾要素も設定できます。
もちろん、もっと自由な形のベクターオブジェクトを描画する方法もあります。続いてはIllustratorの必須ツール、その名も「ペンツール」の使い方を見てみましょう。
【基本編:ペンツールを使いこなすコツ】

ペンツールとは、Illustratorをはじめとしたドローソフトで「ベジェ曲線(パス)」を描くための基本となるツールです。ベジェ曲線とは、コンピューター上で数学的に記述される、なめらかな曲線のこと。フランスの自動車メーカー、シトロエン社のド・カステリョと、ルノー社のピエール・ベジェにより考案されたそうです。こう書くと非常に難解なものに思えますが、コツさえ掴めば手描きでは出せない綺麗な線を、自在に描くことができるようになります。
私は高校くらいまで独学でペンツールを触っていたわけですが、当時のコツ(?)としてひとつ、「1セグメント毎にハンドルを切りながら描く」というやり方があります。ハンドル(線の方向と曲げ具合を決める要素)をあえて片方だけにすることで、カーブは少しガタつきますがパス全体のコントロールは楽になります。練習の際はまずベジェ曲線独特の操作感に慣れてから、徐々にハンドルを増やしていくといいかと思います。
「ソフトはないけど実際にベジェ曲線を描いてみたい!」という方には、ブラウザ上でベジェ曲線が練習できるサイトがあるのでおすすめです(もちろん無料)。画面上をお手本通りになぞっていくだけで、ベジェ曲線の基本操作が学べます。英語表記ではあるものの、見たまま操作するだけなので英語が読めなくても大丈夫。ハンドルを折りながら描くなど、キーを押しながらの操作方法もカバーしているのは素晴らしい。
【応用編:ライブトレース機能にチャレンジ!】
最後に応用編…というか余談として、Illustratorの中にある機能「ライブトレース」についてご紹介したいと思います。
先述通り、ベクター画像をビットマップ画像に変換することはできても、逆はできません。ですが、擬似的に「それっぽく見せる」くらいでしたら可能です。
ライブトレースとは、写真やイラスト等のビットマップ画像を読み取って、元画像に近いベクターオブジェクト(単一のオブジェクト、または集合体)に変換してくれる機能です。例えばピクセル数の小さい写真を変換して擬似的に拡大できるようにしたり、手描きの線画をぱぱっと抽出したりと、発想と工夫次第で制作の可能性を広げてくれると思います。




ちなみに今回最初の図解にある挿絵も、ライブトレースで手描きの線画を抽出して仕上げています。
【まとめ】
以上、ベクター形式…よりもベジェ曲線についての説明になりましたが、いかがでしたでしょうか。正直、この辺の話は理解するのに予備知識がどうしても必要になってくるので、ここでわからなくても何ら一切問題ないです。むしろ実践を経てから改めてこういった基本を学ぶほうがいい気がします。習うより慣れろ、というか…。
さて次回ですが、一旦いつもの(?)制作裏話回に戻ろうと思います。何の話かは次回までのお楽しみ、ということで!
ここまでお読み頂きありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!
※本記事は2024年3月時点の情報をもとにしています。
※画像お借りしました:ぱくたそ様
2024.3.27
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