製本のおつまみ。〜紙1枚から本をつくろう!〜

おつまみでざいん。

制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。

今回の「おつD」は「製本せいほん」がテーマ。世の中の本はどのようにして作られているのか? についてお話します。とは言え、ガチガチのDTPデザイン話…とまではいきません。あくまでお遊び的なスタンスで参りますので、身構えなくて大丈夫ですよ。

なにはともあれ、まずは皆さまお手元にコピー用紙を1枚(なければその辺のチラシとか適当な紙で構いません)、そしてハサミ(カッターナイフ)をご用意くださいませ〜!

準備はオッケー? では、やっていきましょう!


もくじ

【8p折本を作ってみよう!】
【週刊マンガはどうして1話=16pなの?】
【16p中綴じ本を作ってみよう!】
【余談:製本のいろいろ】
【まとめ】


【8p折本を作ってみよう!】

ではでは手始めに、お手元の紙とハサミでサクッと本を1冊作っちゃいましょう! その名も「折本おりほん」! これはもしかしたら「やったことある!」っていう方もいるかもしれないですね。

<つくりかた>

1.紙が8等分になるよう、折り目をつけます。

1.紙が8等分になるよう、折り目をつけます。3回折り畳んで開くと、写真のような8等分になると思います。この状態になればOK。

2.もう一度長辺を1回折った状態にし、山折りになったほうの中央の折り目を切ります。

2.もう一度長辺を1回折った状態にし、山折りになったほうの中央の折り目を写真のように切ります。

紙の中央に1つ穴を開ける感じですね。切り込みを入れたら、また紙を開きます。

3.あとは折りたためば、本の形になります。これで折本の出来上がり!

3.あとは写真のように折りたためば、本の形になります。これで折本の出来上がり!

ページ番号の一例
ページ番号の一例

折りたたみ方にもよりますが、ページ番号(専門用語でノンブルと呼びます)を振るなら大体こんな感じになります。これに合わせて写真やイラストを並べれば、お手軽に冊子が作れちゃいますね。裏が白いチラシとかをメモ帳代わりする時とかにも便利なので、良かったら皆さんも活用してみてください。

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【週刊マンガはどうして1話=16pなの?】

さて、簡単な本の作り方をご紹介したところで閑話休題。ここで皆さんに質問です。

週刊や月刊のマンガ雑誌を読んだ事がある方、1話分のページ数はどのくらいだったか覚えていますか? お手元にそういう雑誌がある方は、実際にページ数を数えてみると分かりやすいかも。すると大抵の週刊マンガが16ページ、月刊マンガが32ページ…といった「4(2)の倍数」になっているはずです。実はこのページ数、製本効率を考えたとある理由から決められています。

A4用紙で16p小冊子作り サンプル画像
A4用紙で16p小冊子作り サンプル画像(表面)
A4用紙で16p小冊子作り サンプル画像
A4用紙で16p小冊子作り サンプル画像(裏面)

上の図は、1枚の紙に両面印刷すると最終的に16ページになるよう、各ページを配置したものです。このように、本を作るためにページを並べる作業を「面付けめんつけ」と呼びます。これこそが(マンガに限らず)ページ数を基本4の倍数にする理由です。

1枚の紙に面付けをし、それを本の形になるよう折り畳んだものを「折丁おりちょう」と呼びます。この折丁を重ねていき、何らかの方法で背表紙になる一辺をじ、ページが開くよう残りの辺を断ち落とせば本になります。これは世の中で大量生産される書籍の、最も一般的な作り方です。

例えば16ページで週刊マンガ1話分、というルールをあらかじめ決めておけば、雑誌全体のページ数を管理しやすくなります。こういった定期出版かつ大量生産する本を効率的に(常に一定のページ数=同じコストで)生産できる、という訳ですね。

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【16p中綴じ本を作ってみよう!】

それでは再び実践パート。次は折本から少しレベルアップして、折丁の仕組みを参考に16ページの小冊子を作ってみましょう!

<A4コピー用紙の準備>

まずはA4コピー用紙に面付けをします。ページ配置は上のサンプル画像を参考にしてみてください。面付けの構造が分かりやすいよう、裏表で同じ位置になるページを同じ色で描いています。

画像をダウンロードして、家庭用プリンタやコンビニコピー機で両面印刷(短辺綴じ)しても構いません。折本のときと同じように折り目をつけたA4コピー用紙に、画像と同じになるよう数字(ページ数)を書いても勿論OK。

<必要な道具をそろえる>

カッター・カッターボード・カッティング定規
カッター・カッターボード・カッティング定規
ホッチキス(中綴じ機能付き)
ホッチキス(中綴じ機能付き)

カッター・カッターボード・カッティング定規(金属製の定規)・ホッチキスを用意します。写真のものは、普段から私が使っている文房具たちです。中でも定規やホッチキスは学生時代からずっと現役。ご自身の使いやすいものを用意しましょう。カッターナイフを扱うのが難しい場合は、代わりにハサミを使っても大丈夫ですよ。

ちなみに私は、追加でこんな道具も使ったりします(無理に用意しなくていいです)。

製図用文鎮

製図用文鎮ぶんちん

カッターで切る時に、定規や紙(切るもの)を押さえておける革張りの重石。ペーパーウェイト。

大きいサイズの紙や枚数・厚みのあるものを切る時も、手元を安定させられるので便利。サイズもいろいろ。

文鎮だけにとても重たいので、落とさないよう取り扱いには注意。代わりに大きめのクリップなどで挟んでもいいかも。

鉄筆

鉄筆てっぴつ

紙などに折り筋をつけたり細かい所を擦る際に使う、細長く尖った金属がついた製図道具。

鉛筆のように定規にあて、線を引くように使う。先端の形状は球状だったりヘラのようなものなど、用途によってさまざま。

刺さると痛いので取り扱い注意。

<つくりかた>

1.準備した用紙を折りたたむ。

1.準備した用紙を折りたたむ。この時、紙の短辺を順に半分に折りたたんでいき、最後に長辺を背表紙にして表紙(1ページ目)が表、裏表紙(16ページ目)が裏になるようにします。折り目が多少ズレても気にしない。

この折り目はなるべくしっかりとつけておくと、後の作業が楽になります。辞書など重石になるものを置いてしばらく放置しておくといいかもしれません。鉄筆で折り筋をつけてから折るのも有効。

2.たたんだ紙を開き、背表紙になる折り目をホッチキスで2点留める。

2.たたんだ紙を写真のように開き、背表紙になる折り目をホッチキスで2点留める。

中綴じホッチキスの場合は写真のように冊子の上下から、普通のホッチキスの場合は左右から挟んで留めます。

3.ホッチキスで留めた辺以外の3辺を、写真のように定規にカッターを沿わせ、切り落とします。

3.ホッチキスで留めた辺以外の3辺を、写真のように定規にカッターを沿わせ、切り落とします(三方断さんぽうだと言います)。細く切り落とすので手を切らないよう注意。

慣れないと難しいですが、1mm幅くらいを目安に切り落とせると仕上がりが綺麗です。ちなみにここで切り落とす幅を変えれば、出来上がりの本の寸法を変えられますよ。

4.本をパラパラとめくってみて、ページが順番通りになっていればOK!

4.本をパラパラとめくってみて、ページが順番通りになっていればOK!

これにて完成です! お疲れ様でした!

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【余談:製本のいろいろ】

ここまで手製本についてつらつら語ってきました。最後に代表的な製本の種類についても、ちょっとだけ紹介しておきましょう。

<上製本>

いわゆる「ハードカバー」のこと。本文用紙を糊と糸を使った糸綴じで仕上げた後、本文用紙より一回り大きい板紙(厚手のボール紙や布)の表紙でくるみます。

頑丈で高級感がある仕上がりになるので、長期保存する卒業アルバムや辞典・図録・写真集・画集などによく用いられる製本です。絵本・小説など何度も読む、耐久性が必要なものにも向いています。

<並製本>

いわゆる「ソフトカバー」のこと。表紙に柔軟性のある用紙を使い、接着剤などで本文用紙を一緒に綴じます。並製本の背の綴じ方は冊子の種類やページ数によって、いくつか種類があります。

使用頻度が高かったり、大量生産したりする冊子向き。マンガなどの単行本・文庫本・雑誌、教科書やノートなどによく使われます。

<リング製本>

紙に穴を開けてワイヤーやプラスチック製のリングで綴じる製本方法。ノートやカレンダー、メモ帳なんかでおなじみですね。

ページをくるっと360度折り返せるので、プレゼンテーション資料をまとめて製本するのにも使い勝手がいいのではないかな? と思います。

<和綴じ製本>

和綴じは2つ折りにした和紙に表紙をつけて、背表紙側を丈夫な糸で綴じる、日本の昔ながらの製本方法。針金や接着剤を使用しないので経年劣化に強く、耐久性にも優れています。

ちなみに針と糸(紐)・穴開け用のキリなどを用意すれば、手製本することもできますよ。

※参考サイト:製本とは?製本の種類や綴じ方について徹底解説|冊子印刷・製本の冊子製本キング ※外部サイト

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【まとめ】

ということで。なんとなく番外編的な内容でお送りしました。いかがだったでしょうか?

手製本の世界、凝り始めると色んなもので色々な方法を試してみたくなるもの。そんな手製本の極めつけが「ZINEジン(リトルプレス)」! 言わば「アートな世界の同人誌」みたいなものでしょうか。「Magazineマガジン(雑誌)」がその名の由来と言われています。

簡単に言うと個人・少人数のグループで作った、手作りで少部数のみ発行される本のことです。が、これはあくまで基準でしかなく。テーマもジャンルも体裁もとにかく自由度が高いのが何よりの特徴。ぶっちゃけ何かの紙束をクリップで留めただけのものを、作者が「これが私のZINEだ!」と言えば、もうそれだけでZINE認定。それくらい自由。

気になる方はZINEを専門に取り扱うお店もありますので、一度探してみてください。イベント会場・委託販売などで売られるケースもあるよう。本当に個性豊かで(というか個性しかなくて)眺めているだけでも楽しくなってきますよ!

取り扱い店舗(一例)

MOUNT ZINE
MOUNT ZINE(マウントジン)は、ZINE(リトルプレス、小冊子、同人誌)を誰でも発表できるプロジェクトです。国内外でのイベント開催やZINEショップの運営を行っています。

そんなわけで次回は、あー、まあー……また未定なんですけれども。ちょっとやってみたいなあと思うネタはいくつかピックアップしてありますので、その中から何かしらやるかと思います。(通るかは保証しかねますが)リクエストもゆる〜く募集しております。はい。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

それでは、次回をお楽しみに!

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※画像お借りしました:いらすとや

2024.6.28

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