ロゴデザインのおつまみ。

おつまみでざいん。

制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。

前回の記事は有り難いことに色んな方から反響を賜りまして、有り難いやら困惑するやら恥ずかしいやら居た堪れないやら内容の未熟さに打ちひしがれるやらもう大忙しでございます(笑)。

今回の「おつD」は、前回記事で割愛させて頂いた「事業所ロゴマーク」のデザイン過程についてお送りします。(2022年7月現在)当HPの上に表示してある画像にありますね。繰り返しになりますが、か〜な〜り〜自己流(苦笑)な方法ですので…まあ、ご参考程度に。

簡単そうに見えて実は奥深いのがロゴデザインの世界。その一端を「おつまみ」して参りましょう!


もくじ

【ラフ画】
【デザイン案】
【ブラッシュアップ作業】
【最終決定稿】
【まとめ】


【ラフ画】

まず事業所にどういったイメージを持って欲しいのか、打ち合わせの中で思いつくまま自由にアイデアを出していきます。クロノスの立地は海のほど近く。時折船の汽笛が聞こえてくることもあるんです。そこで「砂浜」「海」「青空」といった安直なキーワードから出していきました。続いてB型事業所内パネルのイラストにある「カモメ」、事業所名の由来である時を象徴する神様から「時計」「宇宙」…といった感じで、クロノスらしいキーワードも拾います。それらをヒントに、図案へと落とし込む作業へと進めていきます。

アイデア出しのラフ(抜粋)

人によってアプローチの仕方は違うと思うのですが、自分の場合「要素を単純にする」「組み合わせる」ことから始める場合が多いです。まず手を動かして描いてみて、「この形をもっとシンプルにしたらどうなるかな?」「この案とこの案を合体させたらどうだろう?」と徐々にアイデアの枝葉を広げていく感じ…でしょうか? より個性を出すために「事業所の頭文字をとって組み込もう」と、時計の針を「M」の字にしてみたり…どういう路線なのかコミック調のイメージキャラまで作ろうとしていたり…。見返すと迷走しまくりな試行錯誤の跡が垣間見えます。

前回記事にも書きましたが、印刷媒体やWeb、ノベルティ、グッズなど様々な場面で運用する見込みがあったので「単色でも違和感なく使える・見映えがする」ということも重要な課題でした。そのため基本的にグラデーションで魅せるタイプのデザインは目指さず、単色であることを前提にしたアイデアを考えています。最初は黒1色でデザインを起こすのもそのため。

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【デザイン案】

ある程度アイデアが固まったら、実際にIllustratorイラストレーターでラフデザインをカタチにしていきます。IllustratorはPhotoshopフォトショップとセットで扱われることが多いデザイン業界御用達ソフトですが、どちらかというとその名の通り「絵を描く」のが得意。特に今回のような「基本単色のロゴ」を描くのには便利な機能が揃っていますし、まあ単に私が好きなソフトなので(笑)こちらを選びました。絵画のようななめらかな濃淡がある絵を描くなら、Photoshopの方が得意そうですが…まあ、個人的な印象なのでこの話については世の詳しい方々にお任せ致しましょう…。

それでは、ここからはいよいよ本邦初公開! 没デザイン案も一緒に、提案した全5パターンのアイデアをどーんとご紹介です!

A案

一次決定稿になった案です。中央下が「砂浜(海岸)」、上が「青空」、M字型のヌキ(白くくり抜かれた部分)が「カモメ」をそれぞれイメージしています。そこに周りを囲う細い円弧が加えられていますが、これは「Museミューズ Akashi明石 Chronosクロノス」の頭文字「C」を表しています。「M」と「A」のモチーフもコッソリ隠してありますよ。

最終決定稿とほぼ同じに見えますが、微妙に修正しています。それについては後述。

B案

アメリカのデザイナー、ジョージ・ネルソンの代表作「ボールクロック」がモチーフ。事業所内に掛かっているのですが、その独特な形状から着想を得ました。ですが丸パクりという訳にもいかないので、「宇宙」の要素を組み合わせて、天体が引力に引かれて周回するような図案にしました。

周囲4つの丸はそれぞれ、「A型の物販チーム」「A型の制作チーム」「A型の事務チーム」そして「B型の利用者」を表しており、それぞれが繋がって動いている、という意味を込めています。

C案

「カモメ」=「鳥」をシンプルに「Muse Akashi Chronos」の頭文字に見立てて表現したデザイン。全体的にコロンと可愛らしい感じに仕上げられたので、(2022年7月現在)女性メンバーだけの制作チーム内で一番好評を頂いた案だったか思います。なんかドヤ顔キメてるみたいに見える…(笑)

…とは言いましたが実はこれ、行き詰まった結果Illustratorで普段使わないツールを手当たり次第にアレコレ試していた際、偶然に生まれたデザインだったり。普通とは逆のプロセスで、後からラフを描き形を整え直す手順を挟んでいます。

D案

割と最初のほうに思いついた案。「土星」や「星」をモチーフに、ゆるめの手描きイラスト感を出しています。手描き感のある線はペンタブレットを用い、Illustratorで直接描きました。

他が比較的スムーズな線で描かれたものばかりでしたので、変わり種としてひとつこういった案も入れました。採用目的というより比較対象というか、「この雰囲気でこのデザインがいい」といった参考用に作った意味合いが強いかもしれません。

E案

どストレートに「時計」を図案化した案。こちらもそもそものモチーフはB案と同様、ジョージ・ネルソン作の掛け時計「サンバーストクロック」。

単色使い前提でデザインを起こしていった今回ですが、この案についてはカラフルに色を置いてこそ映えるパターン、という方向に考え方をシフトさせたので、単色だとすごく物足りない感じですね。

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【ブラッシュアップ作業】

一時決定稿(A案)が決まったら、次は配色を決めるためのアイデア出しをします。単色で運用する場合は適宜相応しい色を決めればいいのですが、それとはまた別に「イメージカラー」や「ブランドカラー」となるものも考える必要があります。

イメージカラーについて

上図のように、色だけで「企業・グループや商品が想像できる」ようにイメージを定着させられればベストですね。

配色のアイデア出し(抜粋)

という訳で、ここからもまた結構な苦行なんですが…。様々なトーンの配色で塗り分けたり、グラデーションやテクスチャー(模様)などの効果を付けたりして、できる限り沢山のパターンを作ります。その中からクライアントのイメージに近いものを選んでもらい、理想の色に近づけていくという寸法です。

余談ですが、後にこの際決めたカラーリングがHPに流用され、サイト全体のカラーデザインを見直すきっかけに。同じくパンフレット(前回記事参照)に用いた色と近いテイストも、一部箇所に採用されています。実質ブランドカラーが決まったようなものです。これには正直驚きましたが、ちょっぴり嬉しい誤算でもありました。

一次決定稿(修正前)
一次決定稿(修正後)

色が決まれば、デザイン作業もいよいよ大詰め。細かいディティールに手を加え、美しく見えるよう整えていきます。

修正前と後で比較してみると、ランダムに付けていた輪郭の歪みが少し滑らかになっています。より柔らかさと温かみのイメージをもたせるため、全体的に角張っているところを緩やかに、ひとつひとつチェックして直しました。

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【最終決定稿】
最終決定稿

ブラッシュアップ後、決定した配色を用いて仕上がったのがこちら。

「空」「海」の青、「砂浜」の茶色、そして「太陽」の黄色をイメージしつつ、全体的に優しい感じのカラートーン(色合い)を目指しました。パンフレットの配色が先にある程度決まっていたので、そこに寄せていくような感覚で配色しています。常に「パンフレットの表紙に置いた時どうなるか?」を頭の隅に置いていたので、そこに馴染む色を自然と選んでいけたのかもしれません。

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【まとめ】

そんなわけで以上、事業所ロゴデザインの「おつまみ」でした。

配色の話で少し触れましたが、ロゴデザインは特に「ブランドイメージ」を表現する重要な役割を担っているものと思います。似たような役割でわかりやすいのは、スマートフォンのアプリアイコンでしょうか。沢山並んだアイコンの中で、ぱっと開きたいアプリを選べるのは、使う側にきちんと「何をするためのアプリなのか?」が伝わっているからこそなのだと思います。

皆さんご存知「ピクトグラム」も「伝える」ことのプロ。非常口やトイレ、車椅子といった、あのマークです。かつて、日本でオリンピックが開かれる際「日本語を知らない外国の方が、困ることのないように」と作られたそれは、今や世界のスタンダードとしてきっちり定着しています。

敷居が低いようでいて、突き詰めればとっても難解。でも変な話、IllustratorやPhotoshopなどの専門ツールがなくても「デザイン」はできます! 試しに「好きなモノ」や「好きなコト」をお絵描き感覚でロゴにしてみる…なんてのも楽しいかも?

はあ…はあ…なんか2回続けてがっつり喋り過ぎましたね…(汗)

最初から飛ばし過ぎたので、次回はちょっと箸休め的な話題をひとつやりましょうかね。密かに準備している「アレ」もお披露目したいですし…えっと、ご期待ください?

ここまでお読み頂きありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!

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2022.07.25

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