デザイン事業部「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。
今回の「おつD」は、夏にぴったりな「色と印象」のお話ですよ。
配色によって生まれる物事の感じ方、特に「涼しさ」についてフォーカスしつつ、デザイン初心者の方でもなるべく感覚で分かるよう、ご紹介できればと思います。
さて、夏になると、青色の飲み物のパッケージや、水しぶきをイメージした広告をよく見かけませんか? 冷たいスイーツのポスター、エアコンの広告、夏限定の商品……、気付けば街のあちこちに「涼しさ」を感じさせるデザインがあふれています。
……でも、ちょっと考えてみて下さい。
実際にその紙や画面を触って「冷たい」という訳ではないですよね?
なのに私たちはさも当然に、それを見て「なんだか涼しそう」「爽やかだなぁ〜」などと感じてしまうのです。
人間は青系統の色を見ると、何となく「冷たい」「爽やか」「清潔感」といった印象を抱くほか、気持ちを落ち着け「冷静」にさせ、過剰な「興奮を抑える」……という心理的作用が働くことがわかっています。
実際に事故や自殺が多い場所(駅や踏切など)に青っぽい光の電灯(青色照明)を設置し、それらの発生を未然に防ごうとする試みがなされていることからも、色(=目から入る光)が人の心理に与える影響がよくわかりますよね。

(JR線の踏み切り/筆者撮影・プライバシー加工済み)
かなり過去の情報(2010年代)ではありますが、東京大学の研究によると「首都圏の71駅で2000~10年に起きた自殺のデータを分析した結果、青色灯を設置した駅は未設置の駅と比べ、自殺が平均84%減少した」という記録が見つかったので、一定の効果があるのは確かですね。
■引用元:日本経済新聞
色彩心理学については過去にこんな記事も書いてますので、良ければご参考までにどうぞ!
じゃあ、色が持つ力でどう「涼しさ」を表現するのか? いよいよ本編スタートです!
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もくじ
【色には「体感温度」がある!?】
【色は容易く「印象」を左右する】
【夏らしさを演出する色の組み合わせ】
【色は「気持ち」を届けるアイテム!】
【まとめ】
【色には「体感温度」がある!?】
デザイン業界など「色」を扱う業界では、その色の明暗やトーンなどを表す専門用語がいろいろあります。
例えば白黒・グレー等の彩度(鮮やかさ)のない系統の色は「無彩色」、反対に彩度をもつ系統の色は「有彩色」などがその一例ですね。
そういった中で、
と分類されています。

暖色を見ると、太陽や炎を連想して「熱さ(暑さ)」「ぬくもり」「元気さ」「溌剌さ」を感じやすくなります。
一方、寒色は水や氷、空などをイメージさせ、「涼しさ」「爽やかさ」「冷静さ」「知的さ」といった印象を与えてくれます。
もちろん、本当に温度が変わるわけではありません。けれど私たちは無意識のうちに自分の経験や記憶と色を結びつけ、色からさまざまな印象を受け取り、その結果を五感へと反映しています。
例えばこれは、私が学生(芸術系の四年制大学)だった頃の実話です。
とある日の心理学の講義で、色彩心理学についてレポートにまとめる課題が出されました。「作品を作って講評する」といった制作系の講義ならともかく、シンプルな座学の課題ですし、単純に授業のまとめを書くだけでも構わないのですが……まあそこは芸大生。レポートにもひと工夫した方が高評価が得られる(実際はどうなのか不明です)のでは? と思った私は、自らをサンプルにしてとある「実験」をすることにしました。
それは「『青は食欲を減退させる』という心理的作用が本当なのか調べるため、青い食紅で染色したラーメンを染色前の普通のラーメンと食べ比べる」……というもの。

実際はたまごを乗せたチキ○ラーメンに青い食紅を入れて食べてました。
ところがこれが驚くことに(まあ信じてもらうしかないんですが……)、染色前の風味(スープの味・塩加減・うまみなど)や香りが明らかに薄まったように感じられ、もちろん何の味もしない食紅を入れて色を変えただけ(しかも目の前で!)なのに、完全に味覚や嗅覚は「不味いと感じていた」のです。さっき食べた時はいつもの味だったじゃん! この体験は、もう本当に衝撃でした……。
※使用したラーメンは責任持ってきっちり完食致しましたのでご安心ください。
こういう実体験からも言えることですが、色は単なる飾りではなく、「(自分や相手に)どんな気持ちになってほしいか」を伝えるための道具でもあるんですよね。
【色は容易く「印象」を左右する】
たとえば、そうですね……、では「かき氷」のポスターを想像してみてください。
原色の青と白地に赤い筆文字でドーンと「氷」と書かれた、かき氷の容器やのぼりなんかを思い出す方が多いのでは? こちらは、お祭りでよく使われる容器やのぼりなどのド定番として定着している、わかりやすい配色パターンですね。
では、こんなデザインならばどうでしょう?

見てもらってわかる通り、どちらも同じ「かき氷」を紹介しているはずなのに、受け取る印象は大きく異なります。上図はちょっと極端な例ではありますが、イメージさせたいもの……つまり「コンセプト」としているものが違う=フィニッシュデザインに大きな違いが出る、というわかりやすいお手本になっていますね。
デザインでは「何を伝えたいのか」に合わせて色を選ぶことも、とても大切な仕事のひとつです。
【夏らしさを演出する色の組み合わせ】
「実際にどんな色を組み合わせればいいの?」と思ったら、夏らしさを感じさせる「定番・王道的配色」からまず試してみてください。
例としては、こんな組み合わせがあります。
- 水色 × 白
- 青 × ミントグリーン
- ネイビー × 生成り
- ターコイズ × レモンイエロー

もちろん、配色に正解・不正解なんてものはありません。大切なのは、「どんな雰囲気を伝えたいのか」「対象や目的に対して適切かどうか」を考えながら色を選ぶこと。
同じ青でも、鮮やかな青なら元気な印象に、少しくすんだ青なら落ち着いた印象になります。
まずは「この組み合わせ、なんだか夏っぽいな」「涼しそうだな」と感じるところから始めてみるだけでも十分です。
【色は「気持ち」を届けるアイテム!】
これまで当ブログでは、RGBカラーとCMYKカラーの違いや、ユニバーサルカラーなど、さまざまな「色の基本」についてお話ししてきました。それらの多くは、言うなれば「色を正しく伝えるため」の知識や情報でした。
それに対して「配色」というのは、「どう感じてもらいたいか」という視点から見た色の考え方、とも言えるでしょう。
涼しそうに感じる色。元気になれる色。安心できる色……。
色には、人の気持ちにそっと寄り添う力があります。
だからこそ、デザインの色選びは「好きな色を選ぶ」だけではなく、「見る人にどんな印象を届けたいか」を考えることも大切かもしれませんね。
【まとめ】
暑い日が続くこれからの季節。
スーパーの商品パッケージや駅のポスター、コンビニのPOPなどを眺めてみると、「涼しさ」を演出する工夫がたくさん見つかるはずです。
ぜひ今年の夏は、「なんでこの色を見ると涼しく感じるんだろう?」という視点で、身の回りの些細なデザインを観察してみてください。
きっといつもの景色の中にも、たくさんの「デザイン」が見つかるはずですよ!
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ここまでお読み頂きありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!
※当記事の一部画像には「ChatGPT」によってAI画像生成した物が含まれます。なお該当画像のALTテキストには、可能な限り生成時のプロンプトを併記します。
※当記事の一部画像には、無断転載や不正なAI学習を抑制するため「Glaze」による特殊な画像加工を施しています。詳細については以下をご覧下さい(英文表記)。
2026.07.27





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