Adobeのおつまみ。〜アドビ認定プロフェッショナル編〜

おつまみでざいん。

制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。

1月といえば、大学入学共通テスト(センター試験)の月ですね。 私は受けたことがないのでわかりませんが(台無し)、ともかく全国受験生躍動の季節、という事で今回の「おつD」テーマは「デザイナーの資格試験」です!

ぶっちゃけデザイナーになりたいなら沢山の資格を取るよりも、実績(作品作り)を積み重ねたり、良いデザインに触れるなどしてセンス・スキルそのものを磨くほうがずっと効果的。資格の有無が直接的に就職や起業達成に直結するケースはほぼありません(例えば建築物の「設計自体」にも携わるデザイナーなら、それ相応の建築士資格が必要……などはあります)。

とは言っても資格取得(のために学ぶこと)自体は、自分の知識やスキル向上には勿論、スキルレベルを客観的に可視化でき、確かな自信にもつながります。でもIllustratorやPhotoshopに関する資格って、探すと結構色々なものがあるので、どれを受ければいいのか悩んでしまうかも……。

そんなあなたに、個人的にオススメしたい資格があります。その名も「アドビ認定プロフェッショナル(旧名称:アドビ認定アソシエイト) だいぶ昔の事なのでもう自慢話にもなりゃしませんが、何を隠そう私もちゃっかり取得済みだったり。初心者から現役の方まで幅広く、デザイナーを志す方に是非チャレンジして欲しい資格試験です。

では何故そんなにオススメできるのか、どんな内容の試験なのか……個人的な感想・私見を元にではありますが、つらつらとご紹介できればと思います。

……あ、えっと、あと今回(も)めっちゃ文章長いです。ゆるして。


もくじ

【「アドビ認定プロフェッショナル」とは?】
【「アドビ認定プロフェッショナル」のココがスゴイ!】
【「アドビ認定プロフェッショナル」学習〜合格までの道のり】
【おまけ:例題に挑戦してみよう!】
【まとめ】


【「アドビ認定プロフェッショナル」とは?】
アドビ認定プロフェッショナル|Adobe Certified Professional
アドビ製品を使いこなすスキルを証明するアドビ認定プロフェッショナル。職場で評価される知識と技能を確実に身に付ける資格として位置付け。アドビ認定プロフェッショナルの試験範囲や受験方法、試験会場、学習教材などをご案内しています。

PhotoshopやIllustratorなどのAdobe製品に対し、製品の基本的な知識や利用スキルを証明する資格試験が「アドビ認定プロフェッショナル」です。2025年1月現在、Photoshop CCIllustrator CCのほか、動画編集ソフトであるPremiere Pro CCに対応しています。

試験科目はソフトウェアとバージョン毎に分かれていますので、自分の使っている環境に合わせた科目を選べます。現在は特定の2科目に合格すると、自動で受験科目とは別に「Adobe Certified Professional in Visual Design(Photoshop, Illustratorの2科目)」「Adobe Certified Professional in Video Design(Photoshop, Premiere Proの2科目)などといった特別な認定もなされ、複合的なスキルの証明に使えるのも嬉しいポイント。

ちなみに「アドビ認定エキスパート」という上級者向けの試験もあるようですが、残念ながら2025年1月現在、日本語版の実施はありません。アドビ製品もイングリッシュも楽勝だぜ〜! っていう方はチャレンジしてもいい……かも?

そして何とここで速報ー! まさにこのブログ執筆真っ最中の2025年1月15日、まさかの新科目Content Creation and Marketing using Adobe Expressが登場しましたよー!! タイムリー過ぎますよ!!

Adobe Certified Professional の新科目「Content Creation and Marketing using Adobe Express」の提供を開始しました。|Adobe Certified Professional
Adobe Certified Professional の新科目「Content Creation and Marketing using Adobe Express」の提供を開始しました。

「Adobe版Canva」とも例えられる、ブラウザ上で動くビジュアルコンテンツ作成ツールAdobe Expressアドビ エクスプレスに対応した試験科目で、日本語で受験できるようになったのは今回が初めて(英語版は既に実施されていた様子)。

受験料に出題範囲を100%網羅したオンライン学習教材(テキストや模擬試験・模擬試験結果を記録し可視化するサービスなど)がまるごとセットになっているため、PCとネット環境さえあればいつでもどこでも勉強できます。ちなみに2026年3月までは、期間限定割引価格で受験できるとの事ですよ!

試験問題はソフトウェアの機能・操作方法に関することだけでなく、デザイナーとして働くために必要な知識も問われます。色彩や構図法といった美術の知識・著作権や肖像権などの権利まわり・チームで仕事をするための心構え……などなど。ソフトウェアを言われた通り操作できればいい、という単純な資格ではないのです。

とはいえ難易度は「エントリーレベル(初心者向き)」だと明記されていますし、年1〜2回しか受験日がない、といった特殊な試験でもないので、試験勉強はある程度自分のペースで進められます。テキストをちゃんと読み込んでいれば、一発合格だってそう難しくない……はず!

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【「アドビ認定プロフェッショナル」のココがスゴイ!】

1.あのAdobe社が公認! 業界で最も信頼される資格!?

アドビ認定プロフェッショナル 公式サイト画像
ホームページTOP ※画像は2025年1月時点のものです

まずこの資格には、他のデザイン系資格試験にはない唯一無二の特徴があります。それはIllustratorやPhotoshop等のソフトウェアを開発するAdobe社が、直々に認定している資格であること。

とはいえ他のデザイン系資格のほうが劣っている、などといった話では全くないです。目指すゴールや業務内容によっては、他の資格を取得するほうが実践で活きることもあるかもしれません。ならば、何故その中でオススメするのか。理由はズバリ、デザイン業界において「Adobe公認」という肩書きそのものが、ひとつの強みとして機能し得るからです。

Adobe社の製品といえば、今やデザイン業界になくてはならないデファクトスタンダード(事実上の標準)。そのメーカーお墨付きの資格試験に合格しているとあらば、初対面の相手からも「既に基礎的なスキルがある」と信頼してもらいやすいでしょう。少なくとも、好印象に働かないはずはありません。就活やクライアントへの売り込みに、強力な切り札として役立つことでしょう。

2.グローバルな現場で使える国際資格!

実はアドビ認定プロフェッショナルは、れっきとした国際資格でもあります。国際資格とはその名の通り、日本だけではなく国際的に認められ通用する資格のこと。有名どころだと「TOEIC(Test Of English for International Communication)」「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)などがありますね。

デザインに関する国際標準の基礎知識・スキルを証明できる、ということは、世界を舞台に活躍できる可能性にも繋がるかも。将来はデザインの分野でグローバルに活躍したい、と考えている方にも、積極的に取得してもらいたい資格です。

3.学生さん・新入社員にも! デザインの入門教材として!

前述通り、この資格はデザインに関する国際標準の基礎知識・スキルを証明するもの。当然試験問題のどれもが、まずデザイナーが知っておくべき基礎知識ばかりです。基礎知識を凝縮したテキストは、デザイン初心者さんの学習にもピッタリなのです!

学生さんなら資格があれば、将来の就活などで何かと心強いですよね。アドビ認定プロフェッショナルなら学割制度もありますので、受験料もお安く済みます。試験勉強がリアルタイムに学業に活かせる、というのも大きな利点です。通われている大学や専門学校主催で、試験対策講座が開かれている可能性もありますので、そういったものにも積極的に活用することをオススメします。特にほら、学生時代っていろんなことが自由ですから。使えるものはガンガン使わせて頂きましょう。

また、企業が社員のスキル定着や標準化・向上を目的に、アドビ認定プロフェッショナルの取得を推奨する場合も。内定者や新入社員のための、研修プログラムのひとつとして導入されている事例も実際にあるようです。学校・企業法人向けに受験料の割引制度があるのも、この資格の良いところですね。

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【「アドビ認定プロフェッショナル」学習〜合格までの道のり】

お待たせしました! ではここからは、実際に受験した経験談(2019年・旧試験名称当時)を交えつつ、受験勉強〜合格までの流れを見ていきましょう。

※筆者受験当時(2019年)からかなり時間が経っているため、一部古い情報・記憶をたよりに書いている部分があります。現行試験とは異なる情報が含まれる可能性がありますので、予めご容赦ください。

ミューズ明石クロノス アドビ認定プロフェッショナル 受験勉強〜合格までの大まかな流れ
受験勉強〜合格までの大まかな流れ

各科目の試験概要や具体的な試験範囲など、詳細については公式サイトで確認できます。基本的には対応するテキストなどの教材(公式教材がある場合も)を購入して、学習を進めることになります。

既にソフトウェア環境があって、試験本番さながらの練習をしたい方は、テキストとセットで「WEB模擬テスト&演習問題」を購入しましょう。自分の受験当時にはなかった教材なので羨ましいです……。なお先述通り「Content Creation and Marketing using Adobe Express」のみ、受験料の中にWeb学習教材が含まれています(2025年1月時点)。追加で教材を用意する手間がないのは助かりますね。

学習方法は大きく分けて2パターンあります。大学や専門学校・PCスクールなどに通う(対策講座などを受講する)か、テキスト片手に独学で頑張るか、です。それぞれにメリット・デメリットがあるので、自分が学びやすい方法を選びましょう。ご参考までに個人的おすすめポイントはこちら。

■自主学習(独学)がおすすめ!

  • 既にデザインやソフトウェアについて、ある程度の知識やスキルがある
  • 自習できる環境(パソコンやソフト)を既に持っている、またはこの機会に用意したい
  • わからないことを調べたり、例題の答え合わせなどは自力でできる
  • 自分で目標や期間を決め、自分のペースで学習を進めたい
  • 極力、受験にかかる費用を抑えたい

■PCスクール・専門学校等(通学)がおすすめ!

  • デザインやソフトウェアについて、未経験または初心者である
  • 自習できる環境が自宅にない or 学校・勤務先であれば用意できる
  • わからない点はその場で人に聞いたり、教えてもらいたい
  • 目標や期間を明確に決めて、しっかり勉強に集中したい
  • 受験にかける予算に余裕があったり、何らかの補助が受けられる

私の場合は芸大卒業までに培ってきた基礎知識・スキルが既にあったので、テキストを購入して自習する方法をとりました。前職で心身を病み長期休職していた頃で、上司から「せっかく時間あるし、パソコン関連の資格とか取ってみたら?」と提案されたのが受験のきっかけ。……ここだけの話、監視の目がないと途中で挫折しそうだったので、某所でひっそ〜りと自習の様子を生配信しながら進めてました(笑)。

本番の試験はCBT形式で行われます。これは全国にある試験会場(PCスクールや専門学校など)に赴き、実際にコンピュータを使って解答するというもの。ただ、操作方法についてはちゃんとチュートリアル(この間は試験時間に含まれない)を挟んでくれるので、普段使い慣れていない環境でも安心して受けられますよ。

問題数は1試験30問・制限時間は50分(2024年時点)で、私が受験した当時より問題数が10問ほど減った様子。ただし合格ラインは700点(1000点満点)のまま……、ということは1問の重みが増してる、ってことになるのでしょうかね? ひ、ひええぇ……。

アドビ認定プロフェッショナル サンプル問題引用画像 https://adobe.odyssey-com.co.jp/about/sample/sample-ps.html
操作問題のサンプル問題 ※公式サイトより引用

試験内容は、選択肢を選んだり正しい組み合わせを答える「選択問題」、実際にソフトウェアを操作して解答する「操作問題」、という2つのセクションに分かれています。なお制限時間は前半後半を通してのカウントなことに注意(チュートリアル中はカウント外)。

なお新科目の「Content Creation and Marketing using Adobe Express」だけは少し違うようで、全45問の選択問題のみ操作問題は無し、とのこと(2025年1月時点)。

アドビ認定プロフェッショナル 合格証の例(筆者のもの) ※旧名称表記
合格証の例(筆者のもの) ※旧名称表記
アドビ認定プロフェッショナル 試験結果レポートの例(筆者のもの) ※旧名称表記
試験結果レポートの例(筆者のもの)
※旧名称表記

全問解き終わるかタイムアップで試験終了。終わり次第、すぐにコンピューター上に合否が表示される仕組みです。ほんと容赦ないんですよね。試験終了後しばらくすると、受験科目毎の「合格証」・出題範囲別の正答率まで分かる「試験結果レポート」などが、web上で確認・ダウンロードできるようになります。

試験勉強のポイント ※筆者2019年当時受験の印象から

科目は「Illustrator CC 2015」「Photoshop CC 2015」の2科目。同じ日にほぼぶっ続けで挑みました。既に独学+数年間の専門教育を受けており、各ソフトウェアも日常的に使っていたことから、試験勉強の期間は比較的短め? の2ヶ月(1科目=1ヶ月換算)に決定。全くの初心者で、ゆっくり学びたいなら3ヶ月くらいとってもいいのかな? と個人的には思いました。ただ調べてみると2週間ほどで合格できた、という方もいますので、デザイナーとして既にお勤めされている方はもっと短くていいのかもしれません。

私のように独学でやっていたり、専門教育を受けていた方であればあるほど、全体的な正答率は高くても「何でこんな問題間違えるの…?」っていう、謎の現象に出会うことがあります。そんな時は、教材を解き進める中で間違えた問題を一度すべて書き出して、何か共通点がないか探してみましょう。問題文の記述・特定のツールや機能など、つまづきやすい問題の傾向を把握できれば、自分なりの試験対策も立てやすいと思います。特に、普段自分の使わないツール・機能に関する問題は落とし穴になりがちですね。

操作問題については、問題文を見て「どのツール・機能を使う問題なのか」を即座に判断できる読解力も鍛えないといけません。具体例を挙げるなら、例えば同じ「画像に選択範囲を作る」問題でも、その選択範囲の作り方には、線を引いて囲う・似ている色の部分を選ぶ・選択したい部分を塗りつぶす…といったように、結果は同じでも様々な解法がありますので、どの操作ですべきかを読み取る力が重要になってきます。教材、特に演習問題や模擬試験に頻出するツールや機能については、正式名称・どこにあるか・何ができるのか、を混同せずしっかり覚えておきましょう。

試験当日のポイント ※筆者2019年当時受験の印象から

言うまでもないですが、当日は受験票・写真付き証明書などの忘れ物がないように。特に「受験者ID」「パスワード」などの情報は、紙にメモしたものも持っておきましょう。試験会場ではスマホなどの端末を操作できませんし、データ紛失の際の保険にもなります。

また試験会場には時間に余裕を持って到着しておきましょう。1〜2時間前に着いておき、予め場所を確認しておくといいです(私の場合、かなりの方向音痴なので……)。余った時間は近隣のカフェなどで最後の復習タイムにできますしね(勉強に利用していいかどうかは、飲食店に確認をとりましょう)。

本番では一度後半セクション(操作問題)に進んでしまうと、前半セクションには戻れない(解答し直せない)点に注意が必要です。自分の得意・苦手分野を意識して、予め試験時間のペース配分を考えておくといいかもです。時間が掛かりそうだから操作問題のセクションを先に解く、といった事は試験のシステム的にできません。いかに後半セクションに余裕を残せるか(または操作練度を高めて巻き返すか)がキモになりますね。

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【おまけ:例題に挑戦してみよう!】

では、最後にこんなおまけを。公式サイトと過去バージョンのテキスト(Photoshop CC 2015版)を参考に、自作の例題を作ってみました。ソフトウェア自体の知識が必要な問題は避けましたのでご安心を。

※以下の例題はすべて、参考資料を元に筆者個人が自作したものです。実際の試験対策として有効である、という保証は一切ありませんので参考程度にご覧ください。

【例題1】
 卒業旅行ツアーの広告に使う写真素材として、相応しくないものを1つ選びなさい。

1.テーマパークを背景に、学生服を来た男女が肩を組んでいる写真
2.高校生くらいの少女と40代後半くらいの男女が、中華街で食べ歩きをする写真
3.新幹線駅のホームで、高校生くらいの男女がスーツケースを持って歩く写真
4.カメラを手に京都の街並みを歩く、20歳前後の女性グループの写真

【例題2】
 RGBとCMYKの説明として、正しい説明を1つ選びなさい。

1.RGBのアルファベットは、順にレッド・グリーン・ブラックの頭文字を表している。
2.CMYKは光の三原色にブラックを加えたものである。
3.Web画像として適さないカラーモードはRGBである。
4.CMYKはシアン・マゼンダ・イエロー・ブラックで色を表現する。

※【例題2】のヒントはこちら↓の過去記事をご覧ください!

答えは↓↓↓へスクロール!

お待たせしました! それでは、ドキドキの答え合わせです!

【解答1】
 2.高校生くらいの少女と40代後半くらいの男女が、中華街で食べ歩きをする写真

 卒業旅行ツアーの顧客(学生)がターゲットになるので、一目で「学生である」「グループでの旅行中である」ことが分かる写真がベスト。
「2.」も高校生くらいの少女が被写体に含まれてはいるものの、成人の男女といる様子から家族旅行だととらえるのが自然でしょう。卒業旅行のイメージに直結する「学生服」や「若者のグループ」といった要素にフォーカスし、曖昧な伝わり方を避け、ターゲット(顧客層)やコンセプト(テーマ)を明確にすることが大切です。

【解答2】
 4.CMYKはシアン・マゼンダ・イエロー・ブラックで色を表現する。

 ブラックの頭文字は言うまでもなくBなのですが、CMYBだとRGBのBと混同するという理由から、代わりにKと表記します。「Black」の後文字から来ていると思われますが、日本語の「黒(KURO)」の頭文字をとったのでは? という説もあります。
 RGB・CMYK・グレースケールなどなど、カラーモードに関する問題はほぼ間違いなく出される(特にPhotoshop)ので、きっちり対策しておきたい重要ポイントですね。

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【まとめ】

ということで、新年1発目はまさかの資格試験についてでした。専門知識度も高いし、資格試験に興味のない方はまるっとすっ飛ばして大丈夫な回でしたね。なのに最後まで読んでいただいた方、本当にお疲れ様でした。感謝しかない!!

2025年は巳年。へびは「脱皮する」というイメージから、新しいことを始めるのに良いとか、一皮剥けて成長できる年、とも言われているそう。気になった方は他にも色々な資格試験があるので、飛躍を目指し挑戦してみてはいかがでしょう?

ここまでお読み頂きありがとうございました。

それでは、次回をお楽しみに!

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※画像お借りしました:いらすとや

2025.1.31

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