制作チーム「アトリエ∞(インフィニティー)」所属、グラフィックデザイナーのwachico.(わちこ)です。
今回の「おつD」は満を辞して、外注案件としてお受けしたお仕事についてお話ししようと思います。といっても今回は上澄みをさっとすくう感じになると思いますが…。
案件の概要については姉妹サイト「アトリエ∞」に先行公開しておりますので、よければ併せてご覧ください。なお本記事中の一部掲載画像は、こちらから引用しています。
ご依頼いただいたのは「ここいろ株式会社」様。兵庫県神戸市を中心に不動産売買・リノベーションなどを手がけられている会社です。
もくじ
【コーポレートデザインとは?】
【イメージに沿ったキャラクターデザイン】
【預かりファイルは隅々まで確認すべし!】
【対面だからこそ生まれるアイデア】
【まとめ】
【コーポレートデザインとは?】
本題に入る前に、今回の表題である「コーポレートデザイン」について、ざっくりと説明しておきましょう。
コーポレートデザインとはズバリ、コーポレート・アイデンティティ(CI)をデザインすることです。企業(ブランド)の文化や特性・独自性などをイメージ、デザイン、メッセージとして発信することで、その組織を印象付けたり、存在価値を高めようとするビジネス手法を、CIと呼びます。例えば「コカ・コーラ」といえば「赤」というイメージがすぐに浮かぶのも、CI戦略の結果のひとつでしょう。
今回頂いたご依頼は既存ロゴのリメイク(リデザイン)と、それにまつわる名刺・サイン看板等へ貼り付けるステッカー類のデザイン制作。CIに新たな要素を追加し、より独自性を高めることが目標と言えます。
※参考サイト:コーポレートデザイナー|Wikipedia ※外部サイト
【イメージに沿ったキャラクターデザイン】
さて、この度ロゴリメイクのご依頼を頂いた訳ですが、その真意は「飼い犬をマスコットキャラクターとしてロゴ(=CI)の中に加えたい」というものでした。そのため、ロゴリメイクに着手するより先に飼い犬「そら君」をキャラクターとして描き起こしておく必要がありました。
キャラクターデザインはあまり得意ではないと思っているのですが、今回はさらに「前提となるイメージに寄せる」という難題も降り掛かり…。ロゴデザインについて詳しくは次項で話しますが、現行ロゴ(旧版)に新たなキャラクターを組み込むので、当然そこにあるキャラクターと並んても違和感のないようなデザインにしなければなりません。普段から自分が描き慣れている絵柄に寄らないよう、ラフスケッチ段階からかなりじっくり時間をかけて描いたような気がします。
【預かりファイルは隅々まで確認すべし!】
キャラクターデザインが確定したら、お預かりしたロゴのデータを触っていきます。もちろん自分が作ったデータではないので、自分にとって当たり前のこと(データ作りのセオリー的な部分)がまるで違っていることもままあります。なので、まず預かったデータは隅々まできちんとその内容を確認するようにしています。
このチェックを経て、修正作業(今回の場合印刷データ的に不要な部分を削除したり、不足している要素を足したりすること)を終わらせて初めて、リニューアルのための本作業に取り掛かれます。これがまたなかなか予想外に時間を取られまして、間違いなく大変だった所でしょうね…。
こういったデータ類は、クライアント様からデザイナーへの確かな信頼の上でお預かりするもの。作業の際は必ずバックアップを取り、慎重かつ丁寧に扱いましょう。デザイナーに限らず、こういったデジタル世界のお仕事の基本ですね。
【対面だからこそ生まれるアイデア】
こちらは完成した名刺のデザインです。文字組みや電話番号の装飾などは、概ね従来からのデザインを踏襲させて頂いている感じなのですが、大きく変えたポイントは3点ほどあります。
1.CIを意図した特殊紙の採用
今回採用したのは、星のように様々な色が散ったカラフルな再生紙です。実はこれ、広島にある平和記念公園に届けられた千羽鶴をリサイクルした紙。星のように見える部分は折り紙の色が出ているんですね。クライアント様に直接用紙サンプルを触って頂いて、紙質や紙自体に込められた思いを気に入られ、この特殊紙が選ばれました。
2.問い合わせやすい動線作り
これはクライアント様が顧客に対しどのように商談を進めていくのか、からアプローチしました。LINEを介してのやり取りが中心になるということで、連絡先のQRコードを裏面に配置。受け取った名刺からQRコードを読み取るだけで、簡単に「友だち登録」ができるようにしてみました。
3.キャラクター設定の肉付け
これについては全くの想定外だったのですが、クライアント様との打ち合わせ中に生まれた「宅犬」という造語です。この造語は後にキャラクターのものだけに留まらず、愛犬そら君本人(本犬?)の役職名としても採用されています。言わずもがな、宅建士(宅地建物取引士)の「建」と「犬」の字を引っ掛けているのですが、愛犬を自社のマスコットキャラクターとして確立させたいという、クライアント様の希望に思いがけず沿ったアイデアでした。
【まとめ】
さて、振り返り記事としてはあっさりめ(当社比?)になりましたが、いかがでしたでしょうか。
離れていても、いつでもどこでも、Web会議ツール等で簡単にやりとりができてしまうこの時代。それでも私は(全くの私見ですが)「対面でしか得られないシナジー」というものは確かに存在する、と思っていたりします。今回生まれたアイデアたちも、完成したデザインも、画面越しではない対面でなければ生まれ得なかったのかも。
クライアント様と私たちのいる空間そのものや、声のトーン・身振り手振り・立ち居振る舞いから伝わる印象、何気なくて本題と関係もない雑談…。そういうものでしか知れないこと、分からないことは絶対にある。そして大抵、そういう言葉にできないモノから得た「何か」が、とても重要だったりするのです。不思議なことに。
だからこそできるだけ、対面で相手のことを知ろうとしたい。知ってもらおうとしたい。実際はなかなかそううまくいきませんが、こういった心構えはこれからも忘れずにいきたいな…と思っております。
さて次回のネタは……うーん、ノープランですね(通常運転)。この間「画像」の話をしましたし、次はもう一歩踏み込んであの話とか丁度いいかも…? まあ、お楽しみということで。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
それでは、次回をお楽しみに!
2024.4.30
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